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NO 8031   

くるま暮らし  


タカシ記

本山よろず屋本舗情報情報です。

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くるま暮らし

 「週間SPA」1月1・8日合併号の特集記事は、『新型「下流社会」の衝撃』というものでした。
 最高益を叩き出しているたくさんの大企業がある中で、一般庶民はどんどん貧しくなっている実態が特集されています。
 以前、若者の貧困が話題になったことがありました。しか最近の傾向として、中年層がどんどん貧困化(下層化)しているといいます。
 その記事の中で、静慈彰(しずかじしょう)氏の『社会不適合僧侶の究極ミニマル生活 くるま暮らし』という本が紹介されていました。
 「ミニマル」とは、必要最小限という意味です。
 もちろん家を持たず車生活をすることが日本の貧困問題を解決することにはなりませんが、貧困は私にとって極めて身近な問題なので、興味をそそられてしまいました。
 なにしろ私は年金がありません。現在はアルバイトでなんとか糊口をしのいでいる状態です。今は身体が動くのでなんとかなっていますが、これから体力が衰えて満足に働けなくなると、後はわずかな蓄えに頼るしかありません。その蓄えが無くなった時が、私の命運が尽きる時です。
 その時に日本がベーシック・インカム制度を取り入れていたらいいのですが、今の日本の政治を見ていたら到底無理という気がします(なにしろ消費税増税に見られるように、今の政府は国民から吸い上げることしか考えていません)。
 私にとって貧困は、いずれ直面せざるを得ない身近な危機と言えます。
 さっそくアマゾンに注文して読んでみることにしました。

 車生活を2年ほど続けている静氏は、高野山真言宗の僧侶とのことで、僧侶としての収入が月に10万〜30万程度あるそうです。
 この金額は、一般的な派遣労働者の賃金と近いものでしょう。
 都会は物価が高いので、これだとなんとかギリギリ生きていける生活レベルとなります。それが車生活となると、どうなるのか興味が湧いてきます。

 本には、静氏がどのような経緯で車生活をするようになったか紹介されています。静氏が人生の苦悩を味わった様子が詩の形で語られているので、まずその部分を『社会不適合僧侶の究極ミニマル生活 くるま暮らし』(静慈彰著、飛鳥新社)から抜粋して紹介します。


 ・・・<『社会不適合僧侶の究極ミニマル生活 くるま暮らし』、p12〜p13から抜粋開始>・・・

僕にはもう我慢ができなかった。

組織を捨てた。
おとなしく言われたことだけをやっているのは、
苦痛以外の何物でもなかった。

家族を捨てた。
僕を否定する人たちから、距離をとる必要があった。

大量のモノを捨てた。
モノが多い便利さよりも、モノが少ない静けさを選んだ。

承認欲求を捨てた。
もう、誰にどう思われてもいい。
そう決めてから、ずいぶん生きるのがラクになった。

煩わしい人間関係を捨てた。
申し訳ないけれど、あなたたちの期待に応えることはできない。

妻を捨てた。
どうあがいても"よい夫"にはなれなかった。

そして、家を捨てた。
車に乗って家を飛び出した僕は、どこにも帰らなかった。

あらゆるものを捨てて、
残ったものは、車1台とこの身1つ。

そこには、究極の自由があった。

 ・・・<抜粋終了>・・・


 静氏が、人生の苦悩の中から車生活に至った経緯を詳しく知りたいと思う方もおられるかもしれません。そういう方は、本を買って読んでいただければと思います。
 今回は、車生活に掛かる費用や、静氏が車生活のハンデをいかに克服していったかという点に絞って紹介したいと思います。
 まず、車生活をする初期費用と運転資金についてです。


 ・・・<『社会不適合僧侶の究極ミニマル生活 くるま暮らし』、p51〜p55から抜粋開始>・・・

 週休5日

 商用のワンボックスカーを改造して住むというライフスタイルは、実に経済的だ。
 まず、家賃がかからない。何千万円もする家やマンションを購入する必要もない。年中移動しているので、土地も必要ない。車を買って、維持しているだけでいい。
 ご参考までに、これまでにかかった費用をお伝えしよう。まず、中古で購入した日産キャラバン(2006年製)は約30万円、改造費として約30万円(不慣れだったので、少し使いすぎてしまった。今ならもっと安く改造できる)。あとは自動車取得税が約8000円、任意保険料が年約1万6000円、重量税・自賠責保険が約5万円。年ごとの車検に約5万円。
 ガソリン代が月に約3万〜5万円。ちなみに愛車の燃費は、市街地走行でリッター10kmと正直あまり良くない。僕は仕事の都合もあり、日本中を忙(せわ)しなく行き来しているのでガソリン代は高いが、そこまで移動しなければ月1万〜3万円で済む。
 電気は、ソーラーパネルで発電した電力と、エンジンで発電した電力をシガーソケット経由でポータブル電源に充電して使用しているので、費用はゼロ。水も、公園や公共施設から拝借しているので、費用はゼロ。ガスは、百均のガスボンベを月に5〜10本使うので、1か月の費用は約500〜1000円。
 1人暮らしの家賃平均は、首都圏でおよそ月7万円、敷金礼金などの初期費用がおよそ34万円かかる(2015年、リクルート住まいカンパニー調査)。水道光熱費は平均で月約7000円(2009〜13年、総務省統計局)。
 賃貸契約を更新する2年間でざっくり比較してみたのが、左の図(管理人注:下の図)だ(なお、中古車の価格下落率は年に30パーセントなので、日産キャラバンの費用は、改造費を含めた2年間の下落額30万円で計算)。車中泊生活が2年間で約125万円かかるのに対して、1人暮らしの賃貸生活が約220万円。車中泊生活のほうが、100万円近くも安い。車中泊生活は圧倒的なコストパフォーマンスを誇っている(その分不便なこともあるのだが)。


車中泊生活と賃貸生活の費用比較(2年間)

車中泊生活
日産キャラバン  15万円(値下がり分)
改造費      15万円(値下がり分)
車検・保険・税  10.8万円
ガソリン     3万円×24=72万円
ガスボンベ    1000円×24=2.4万円
合計       125万円

賃貸生活
家賃       7万円×24=168万円
初期費用     34万円
水道光熱費    7000円×24=16.8万円
合計       218.8万円


 食費や交際費にもあまりお金をかけない。友達は多くないので、飲みに行くこともあまりない。あっても、宅飲みならぬ、車飲みすることがほとんどだ。つまみは、ちゃちゃっと料理する。もちろん、飲んだら車を運転しない。お開きにしたら、あとは車で寝るだけ。
 僕は料理が好きなので、たいてい自炊している。道の駅や市場、ふつうにスーパーで魚や野菜など食材を買って、車載の冷蔵庫に保管し、車に積んだガスコンロやサイドテーブルで調理して食べる。
 ただし、自分で作れない郷土料理にはお金を惜しまない。群馬の囲炉裏で煉(いぶ)って食べた猪肉は美味だった。
 遊んで暮らしているような印象を与えたかもしれない。実際そうとも言えるのだが、収入を得るために仕事はしている。
 とはいえ、働く時間はおそらく皆さんよりずっと少ない。せいぜい週に1〜3日、多くて4日。それ以外は、だいたい日本中をぶらぶら旅している(最近は寺の改修作業があるので、1週間働きづめの時もあるが、それは例外だ)。
 勤務時間も、とても短い。1日5時間も働くことはほぼない。

 そんな生活がなぜ成立しているのか、理由は3つある。
 1つめは、今まで説明してきたように、車中泊生活にはお金がかからないこと。
 中でも、家を持っていないのが大きい。戸建ての住宅は維持費が、マンションなら賃貸料がかかる。「住」のコストをどう削減するか、僕はずっと考え続けていた。そして辿り着いたのが、車中泊というライフスタイルだ。
 僕は独身で、妻も子どももいないので、誰かを養う必要もない。自分の生活に必要な分だけ稼げればいいので、生活費を最小限まで切り詰めることができる。

 2つめは、僕は働くのがあまり好きではないということ。
 後述するように、僕の仕事は人とかかわらないとできない。けれども、僕は人といると疲れてしまうところがあって、なるべく1人にしておいてほしいと思う。気楽な時間をお金に換えたいとは思わない。

 3つめは、僕の職業。今までちゃんと説明してこなかったのだが、僕は高野山真言宗の僧侶だ。車中泊生活をしながら、僧侶としての仕事をして生計を立てている。
 主な仕事は、お通夜、葬儀・告別式、年忌法要などの法務。信者の方々の依頼に応じて各地で執り行うほか、真言宗の関係者や知人から頼まれれば、手伝いに行く。葬儀の規模によっては、複数の僧侶が必要になる場合があるからだ。逆に、僕が住職を務める南福寺が行う葬儀を、知り合いの僧侶に手伝ってもらうこともある。
 それらとは別に、民間の葬儀会社から葬儀や法要などの依頼があれば、それもこなす。依頼された葬儀や法要がきっかけとなって、南福寺の信者になってくださった方もいるので、依頼があれば遠方でも可能な限り出張して行く。
 ほかに、年末年始に参拝客が多いお寺の手伝いにも行く。いわばアルバイトだ。
 法務でいただくお布施の相場は、僕が住職を務める南福寺の法務で3万〜5万円。もちろん、お布施は"お気持ち"なので、それより多かったり少なかったりする。

 ・・・<抜粋終了>・・・


 静氏の2年間の車生活の基本部分の費用は125万円で、一般的な賃貸生活が220万円です。
 その差は100万近くあります。
 私のような家族のない一人身であれば、100万円近くの節約が可能というのは大変な魅力です。
 気になるのは、電気、ガス、水道などのインフラです。
 さらにネットやメールは必須という方は多いと思うので、その辺を静氏はどのように解決しているのか気になります。


 ・・・<『社会不適合僧侶の究極ミニマル生活 くるま暮らし』、p89〜p94から抜粋開始>・・・

 永久電源機関 太陽光パネル1万5000円、モバイルバッテリー4万円、ケーブル類千円

 仕事では、車のエンジンを止めてノートパソコンで作業することも多い。そのため、安定した電源の確保がずっと課題だった。
 電源がシガーソケットしかないと、車中泊生活には不便だ。エンジンをかけ続けていなければならないし、エンジンをかけずに使えるACC電源でノートパソコンや照明を長時間使っていると、バッテリーが上がってしまう。
 その課題は、太陽光パネルから発電した電気とエンジンで発電した電気を、モバイルバッテリーに充電するシステムの構築によって解決した。車を停めたり、走らせたりするだけで勝手に電気が充電される。まさに永久機関。これで車内の電源は万全になった。
 太陽光パネルは、運転席と助手席の上のルーフに貼り付けてあって、最大で100W(実働70W)の発電能力がある。そこから電源コードを車内に引き込み、家庭用のAC(交流)100Vが利用できるモバイルバッテリー(12万mAh)に充電している。モバイルバッテリーにコンセントを差せば、電気が使える。
 ワークスペースは、運転席真後ろの2列目シート。デスク代わのサイドテーブルがあり、そこでノートパソコンで原稿を書いたり、事務作業をする。
 右足の壁際には、モバイルバッテリーを置いている。ノートパソコンや事務用の照明、扇風機、冷蔵庫、電気ケトルなどの電気製品を使う際には、モバイルバッテリーにコンセントを差す。車のエンジンを切っている時でも、スマホや予備バッテリーに充電できる。
 電源の心配がなくなってからは、ノートパソコンでの作業がはかどるようになった。
 この原稿も、高知県を流れる四万十川の河川敷に停めた車内で執筆している。満員の通勤電車も都会の喧騒もない。車のスライドドアを開放すれば、川面からそよぐ涼風のなんと心地良いことか。
 一仕事終えた後に、冷蔵庫で冷やしたビールが待っているのも、太陽のおかげである。

 インターネット/メール

 僕はiPhoneを使っている。今のスマホは小型のノートパソコンに匹敵するほど高機能だから、これをフル活用しない手はない。
 メールと添付データの確認はスマホで行い、詳しくデータを確認する必要があれば、ノートパソコンでメールやデータを閲覧する。愛機は、パナソニックの「レッツノート」。軽くて丈夫なので、頼もしい。
 2020年東京オリンピックを前にした東京や、インバウンド(訪日外国人)の観光客が多い京都、大阪、名古屋、札幌、福岡などでは、公共交通機関や公的の施設で、FREE−WiFi(公衆無線LANサービス)が充実してきた。車中泊生活者の僕も利用できるのでありがたい。FREE−WiFiなら、スマホやノートパソコンを、契約の通信量を気にしなくてもインターネット接続できる。利用者登録も、スマホでメールを送信して、返信されたメールにあるURLに接続するだけと簡単だ。
 FREE−WiFiは、コンビニやチェーン系カフェ、ファストフード店で利用できるところもあるので、積極的に活用している。

 ・・・<抜粋終了>・・・


 車に太陽光パネルを搭載し発電した電気と、エンジンで発電した電気をモバイルバッテリーに充電するシステムというのは優れものです。これで電気は解決しました。
 ネット環境は、FREE−WiFiを利用することでなんとかなりそうです。
 ガスは百金のガスボンベで、月に500円〜1000円というのですから、これは私の自宅の都市ガスより安いです。私は夜は自炊していて、月のガス代は千円ちょっとですから、車生活よりやや高くなっています。
 水道は、公園などの公共の水や、道の駅などを使っているとのことでゼロ円です。
 風呂ですが、夏は車のバックドアに取り付けた水槽で水浴びするといいます。冬は温泉地を回ったりしているそうです。
 一番気になるのはトイレですが、公園や道の駅などで意外と大丈夫なんだそうです。静氏はよくトイレはどうしているのか聞かれるそうですが、困ってどうしようもなかったという経験はないそうです。
 もう一つ気になるのは、夏の暑さと冬の寒さです。
 これは、車に断熱の改造を行えば充分に対処できるようです。業者に頼むとお金が掛かるので、静氏はDIYでした。この断熱のDIYは、静氏のノウハウだと感心しました。長くなるのでここでは紹介しませんが、興味のある方は本を読んでみてください。
 もし仕事で場所に縛られていなかったら、車生活なので、夏は北海道に行って、冬は沖縄に行くということもできるかもしれません。そんな生活をしていたら、むしろ羨ましく思われそうです。

 純粋にお金の面だけを考えれば、車生活ではなく、田舎の廃屋などをリノベーションして格安の家賃で住む方が安くすみます。
 しかし問題は、その土地に仕事はあるのかということです。
 ネットで仕事をしている人ならばそれは可能ですが、たぶん私には無理でしょう。

 もうこのままいったらホームレスになるしかないという状況になったら、車生活は一つの選択肢になりうるかもしれません。
 もちろん無一文になる前に決断する必要があります。
 田舎で格安の住処が確保できなさそうな状況で、なんとか中古のキャラバンなら買えるくらいの蓄えが残っていたら、車生活はあり、という気もします。





(2019年1月7日)



Mail→takashi@bb-unext01.jp


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