■エルニーニョ現象
エルニーニョ現象(以下、エルニーニョで統一)とは熱帯太平洋の中部から東部,ペルー沖にかけての海面水温が数年に一度大規模に上昇する現象をいいます.
もとはペルーの漁師たちが毎年クリスマスの頃に海面水温が高くなる現象をスペイン語で神の子(=イエスキリスト),エルニーニョと呼んでいたものですが,観測がすすむにつれて毎年起こる小規模で局地的なものだけでなく太平洋全域にわたり,半年以上つづく大規模な気候変動現象と認識されるようになりました。
■エルニーニョによる異常気象
今世紀最大といわれた1982/83年のエルニーニョの時には太平洋だけでなく北米や日本付近にも異常気象が現れ、全世界での被害額は130億ドルにのぼるといわれています.このイベント以降世界中の気候学者がこぞってエルニーニョ研究を進め,現在では数値モデルによるシミュレーションや予測まで試みられています。
エルニーニョの影響は遠く離れた日本ではいつもはっきりと現れるとは限りませんが,夏は長梅雨,冷夏,冬なら暖冬になりやすい傾向があります。
ちなみに、太平洋熱帯域では、貿易風と呼ばれる東風が吹いているために、表面付近の暖かい水は西側に吹き寄せられています。反対に東側では冷たい水が湧き上がっています。このためインドネシア近海の海面水温はペルー近海より高く、雲ができやすくなって雨量が多くなります。
■エルニーニョのメカニズム
赤道太平洋では,通常の場合東から西へ吹く貿易風が,日射によって暖められた海水を西へ集め,水の少なくなった東部太平洋,ガラパゴスやペルー沖では,深いところから冷たい水が湧昇してきています(下図左).日本のはるか南,西太平洋の海水温は年間を通じて摂氏28度以上もあります.日本では最低気温が25度より高い夜を熱帯夜と呼ぶことを思い起こせば,どれほど暑いか想像がつくことでしょう.海水がそれほど暖かいのでその上の空気も暖かく湿っており,西太平洋にはおびただしい数の積乱雲が存在しています.積乱雲が水温の高い西太平洋に集中しているとそこに吸い込まれる貿易風をさらに強め,したがって海水温の東西のコントラストを支える相乗作用を持ちます.エルニーニョは何かのきっかけで貿易風が弱まって暖水が東へ移動することによって起こります(下図中).暖水の東への移動はその上に立つ積乱雲も移動させ,ますます貿易風を弱めるように働くのです.反対に貿易風が普段より強まり,東太平洋では強い湧昇により海水温が下がる状態をラニーニャ(女の子)と呼んでいます.このようにエルニーニョー/ラニーニャ現象では大気と海洋の相互作用が本質的なのです。
エルニーニョのメカニズム(http://www.ccsr.u-tokyo.ac.jp/から引用)

要するに、簡単に言えば、貿易風(東風)が弱まると、西側に吹き寄せられていた暖かい水が日付変更線付近に移動し、雨雲のできやすい地域も東へ移動する。そして、東側では、冷たい水の湧き上がりが弱まり、海面水温が平年より高くなるのです。
■エルニーニョによる被害
エルニーニョは、ペルーの沿岸部やエクアドルの経済に大きな影響をあたえる。この地方の沖合いは、世界有数の漁場になっている。とくにカタクチイワシの一種のアンチョビー漁は有名である。また、魚を食べる海鳥がたくさん生息しており、その糞は肥料になるので、グアノとよばれる重要な産業資源になっている。しかし、エルニーニョが発生すると、海面が西からやってきた栄養分にとぼしい暖水におおわれるので、魚や鳥は死んでしまうか、えさをもとめて遠くにいってしまう。そのために、エルニーニョによってペルーやエクアドルの経済は大打撃をうける。(これらは、高校地理必須暗記。特にアンチョビーは暗記せよ。2次試験があるならエルニーニョのメカニズムも説明できるようにせよ。)
1982年から83年にかけて発生したエルニーニョは今世紀最大規模のものであった。そのほかにも、72年、76年、87年、91年、93年に発生している。
■ラニーニャ現象
貿易風(東風)が強まると、暖かい水が西側にかたよってたまり、より一層雨雲ができやすくなります。東側では、冷たい水の湧き上がりが強まり、海面水温が平年より低くなります。
ちなみに、語源はスペイン語で"女の子"のことで、エルニーニョの"男の子"に呼応して名づけられました。
■エルニーニョやラニーニャ関係の画像

写真:熱帯降雨観測衛星「TRMM」が観測した、太平洋赤道域の海面水温の偏差を示した図

写真:海水面の高さから海水温を推定しており、中央の赤道付近、左右に走る帯状の部分が海水温の低いラニーニャの部分。

画像:西暦と海面気圧
■エルニーニョ関係リンク
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