今月のindex

◎書評:
声を出して読みたい昔話・民話(諸岡 弘)
◎活動報告(レインボー)
◎エッセイ:
<作家のこだわり>ピグモン
◎おすすめ絵本:
バムとケロのそらのたび(くらむ)
◎おすすめ絵本:
メチャクサ(ピグモン)
◎おすすめ絵本:
ビロードうさぎ(カネゴン)
◎コラム:
それとなく絵本的:第3回(吉田進み矢)

書評
声を出して読みたい昔話・民話
JRAC関西支部 諸岡 弘

画像については株式会社 筑摩書房に許諾をいただいています。

 「声を出して読みたい日本語」(草思社)が人気があり売れている。昔話や民話も声を出して読むと、より味わい深いものとなる。時を同じくして、3月に2冊(正確にいうと4冊)の昔話・民話が出た。双方とも昔話や民話の研究家である、松谷みよ子さんが編集されたもの。
ひとつは「松谷みよ子かたりの昔話-ママお話聞かせて-」(全2巻/小学館/各2380円)。タイトルが示す通り、お母さんやお父さんが子どもに読んであげる絵本形式となっている。文を書いているのは、松谷みよ子さんと日本民話の会のメンバー。絵を描いいるのは現在日本の第一線で活躍中の画家達。日本の昔話・民話のみならず、世界中で読み継がれている作品も多く収録されている。絵はどの作品もお話のイメージを膨らませるように描かれているので、まだことばが十分に理解できない幼い子どもでも、自然に楽しくお話の世界に入っていける。ぜひ、家庭でお母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃんが子に、孫に読んであげてほしい。またこの2冊セットには、3つのお話を収録した、読み聞かせCD(オリジナル)付きという嬉しいプレゼントがついている。
 もうひとつは「よんであげたいおはなし-松谷みよ子の民話-」(全2巻/筑摩書房/各2400円)。こちらはことばがある程度理解できる小学校中級くらいなら、一人で読むことができる。もちろん大人が子どもに読んであげるのもよし、大人同士がお互いに声を出して読みあうというのもいいのでは・・・。難しい漢字にはルビがつけられているし、活字も大きいのがいい。
 この2つの本は、昔話や民話の特徴である方言を残しながら、現代の人にも読みやすい文章になっている。昔話や民話は本来、口から口へと語り継がれてきたという長い歴史がある。しかし、近年その習慣は消えてしまった。美しい日本語の源流ともいうべき、昔話や民話を声を出して読むことによって、その美しさを蘇らせることができる。そしてそれを今の子供達に伝えていきたいと思う。

●活動報告
レインボー
 次男の小学校入学を機に図書ボランティアの仲間に入れてもらいました。活動は週1回、木曜日の2時間目を空けてもらい、図書室の本の整理と修理をします。以前から言われていますが、学校の図書室は専属の司書がおらず、整理や修理もお粗末です。そんな状況を見かねた有志のお母さん方が細々と活動されています。今年度からは学校からの要請で、20分休み時間に1,2年生対象の読み聞かせを始めました。先日その第1回をいきなり私がさせてもらいました。20分とは言っても正味10分。まずは導入で「ぐりとぐらの1ねんかん」の5月のページだけを読み、最新刊の「ぐりとぐらのおおそうじ」。さすがに「ぐりとぐら」シリーズはいいですね。子ども達もしっかりと聴いてくれました。今後交代制でおこないますが、今度はあの本がいいかな、など、夢は膨らみます。このような活動は各地で広がりつつあるようです。行政は予算不足のため、図書室の整備まで手が回らない様子。せめて理解ある親の力で、子ども達にとってよりよい図書室にしていきたいものです。

エッセイ
●<作家のこだわり>

ピグモン
 先日、絵本作家の「佐々木マキ」さんの講演会を聴きに行ってきました。いつも世話になっている文庫の方に「佐々木さんが講演会引き受けるなんて珍しいのよ」と言われ、頑張って(なんせ子づれなもんで)出かけました。佐々木さんは、どちらかというと大人しい感じの方で、初期の作品に出てくるシルクハット姿からはちょっと意外な感じです。そして、聞き手の図書館員の質問に、とても丁寧に答えられていました。そこで、印象的だったのが・・・・図書館員の方は「・・・の絵の意味は」とか「この言葉は・・・」というような、細部の質問をするのですが、「いえ。そんなに意味はないのです」とか「そうしたかっただ
けで・・」などとあっさり言われる。もちろん、いい加減というのではなくて「絵としての面白さ」であったり「バランス」であったりするのですが、絵本の評論家がするような、妙な?理屈は言わない。その姿勢が素晴らしいと思いました。最後の、質疑応答の時間に、「佐々木さんご自身に本の読み聞かせをして欲しい。」との要望が出とき、ちょっと困られてから、答えられました。
「作曲家に自分の作った歌を歌えって言っても、必ずしもうまく歌えないのと同じで、僕は作家なので、読み聞かせはうまくありません。だから、読むことは出来ませんよ。」

やすすめ絵本
「バムとケロのそらのたび」
島田ゆか 文渓堂
くらむ
画像については株式会社 文溪堂に許諾をいただいています。

 今小学二年生の娘の担任の先生は、絵本を子ども達に毎日読んで下さっている。
ある日娘が言った。
「(図書館で)『バムとケロ』借りてきて!」
「・・・ばむとけろ?・・・う〜ん、いぬとかえるか?ちょっと変わった取り合わせやな。
図書館で検索すると、貸し出し中。待つことさらに一週間、ようやく手にした「バムとケロのそらのたび」。表紙を見ていきなり納得、二人のキャラクターの味のあること・・・そして、いぬとかえるの置物や、飾りや、へんてこな生き物であふれた不思議なページ。
 ところで、二人のそばにいつもいる小さな犬のぬいぐるみみたいなもの、これは生きているのか、それとも人形?う〜〜ん?

おすすめ絵本
●「メチャクサ」
ジョナサン アレン 作 /  岩城敏之 訳  アスラン書房
ピグモン
 この本は、とにかくめちゃくちゃ笑える。
ちょっと声色を変えて子どもに読んでやったらまず間違えなく、笑い出す本だと思う。へらじかを食べようと奮闘する狼は、そりゃぁもう涙ぐましい努力。でも努力は報われない。この本は、私もつい3年ほど前に知った本で、こんなに面白い本を今まで知らなかったのかと驚いたくらいだ。実際この本は、本屋さんで見つけたこともない。やっぱり「アスラン書房」という出版社の力関かなぁ〜っと思ってしまう。本屋さんに行ってしばしば思うのは、売りたい本を並べているなぁということ。新刊はもちろんだけど、絵本などは、ほぼ大手の出版社。決して良い?本という訳でない。これで絵本の売れ筋が決まってしまうんだから、ちょっと考えモンだと思う。皆で「メチャクサ」を読もう。そして売り上げを伸ばしてあげよう!(別にアス
ラン書房に宣伝料をマラっているわけじゃないです。)そして、是非たくさん売れて、本屋さんに並んでいるのを見たいもんである。
アスラン書房HP
http://www.aslanshobo.com/books/index.html

おすすめ絵本
●『ビロードうさぎ』

マージェリィ・ウィリアムズぶん / いしい ももこやく / ウィリアム・ニコルソンえ / 童話館出版
カネゴン

画像については童話館に許諾をいただいています。
 これは私がものすごく好きな絵本で、「ほんもののおもちゃ」のお話です。
でも、「ほんもののおもちゃ」って何だと思いますか?この物語で、うさぎは、男の子にかわいがられて、ある日「ほんもの」になります。それまでのうさぎの不安な気持ち、それから「ほんもの」になった瞬間のきもち、やがて自分が古ぼけてぼろぼろになったのも気づかないで、男の子と遊ぶ日々・・。うさぎの心の変化がよく読みとれます。一度「ほんもの」になってしまうと、こわいものはなにもなくなってしまうんです。それって、他のことにも通じることじゃないかなあと、しばらく考え込んでしまいました。カットの絵もすばらしいです。カットに目次があって題名がついています。
地味な絵本ですが、ぜひ、表紙をみてください、きっと、開いてみたくなります。

●それとなく絵本的:第3回
フォア文庫。 ■
吉田進み矢

 一般的に、「文庫」(例:新潮文庫、岩波文庫)というジャンルの主目的は、「良書を安価で後世に残す」ということだと僕は思ってます。だから、ハードカバーから文庫版になったものが絶版になるってのは本当はおかしいことだと思うんですよ。ひどい場合は文庫版が初版で絶版とかしたりします。集英社とか。これは、最近の文庫の大半が明らかに‘二度売り’の手段となってるからなんですよ。早いものなら発売してから半年くらいで文庫になります(この場合、「文庫落ち」という表現がしっくりきます)。だから、「文庫になるまで待つか」って人も多いです。僕もそうですし。で、ハードカバーで十分売れているものはなかなか文庫化しませんし。例えば、高村薫の『照柿』とか、児童書だったら岩波の『モモ』とかはいつになったら文庫版が出るのかわかりませんもん。なんか、出版社はどんどんセコくなってるような気がしますわ。出版大不況なので仕方は無いのですが。そして、児童書にも文庫があります。代表的なものはフォア文庫、講談社、青い鳥文庫、岩波少年文庫等。また、文庫と言っても版形はいわゆる文庫サイズではなくて、新書サイズだったりします。これは、単純に文字が大きいからそうなったみたいですね。その中でも、フォア文庫は異色です。フォア文庫の出版社はどこか知ってますか?フォア文庫は、岩崎書店・金の星社・童心社・理論社の4社共同の文庫なのです。そして、残すべきものを安価できっちり残しているのです。志が高いなー。ですんで、僕は何社からも発売されている名作とか古典は、なるべくフォア文庫で買うことにしています。非常に読みやすく、また挿絵もたくさん入ってるんで。しかし、欠点が一つ・・・。表紙が怖いのが多いんですな。これは子供に対してハードルになりますって。青い鳥とか垢抜けてますもん。
しかし、2002年6月にようやっと福音館が文庫を出すんですわ。これは楽しみ。そっちに行くかもなあ。図書券をプレゼントしたら、ジャンプやコロコロじゃなくて『ナルニア』を買うような子が増えれば、児童書業界も安泰ですな。
がんばれ児童文庫。

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