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書評:「あかちゃんの絵本箱」〜はじめて出会う絵本ガイド〜(JRAC関西支部 諸岡 弘)
◎書評:わたしのお気に入り『女トロルと8人のこどもたち<アイスランドの巨石ばなし>』(カネゴン)
おすすめえほん:「14ひきのぴくにっく」(レインボー)
エッセイ:マリラ・クスバートの泣き(吉田進み矢)
エッセイ:絵本の手前にあるもの その2「家庭文庫に行こう」(ピグモン)

書評
●「あかちゃんの絵本箱」〜はじめて出会う絵本ガイド〜
吉備人出版(初版01.11) 本体857円
JRAC関西支部 諸岡 弘

画像については吉備人出版に許諾をいただいています。

 2000年の"子ども読書年"以降「ブックスタート」という運動が話題になっています。
これは赤ちゃんとお母さんが絵本を仲立ちにして、親子の絆をしっかりと持ってほしいという願いがあります。
 JPIC読書アドバイザーとして「読み聞かせ」活動をする時、聞き手のお客さまとして、赤ちゃんをだっこしたお母さんもたくさんこられます。その場で、お母さん方から「赤ちゃんにどんな絵本を読んであげたらいいのでしょうか?」という質問をよく受けます。
 これまで赤ちゃん向けの絵本ガイドはありませんでしたが、やっと出ました。これがその本です。これを編集したのは「こどもの本−おかやま−」の会です。"こども読書年"を契機に、子どもたちが多くの本と出会い、子どもたちに本の楽しさを知ってもらいたいという願いから生まれた会です。
 この本の特徴は会のメンバーが自分の子どもや孫、あるいは読み聞かせの活動の中で実際に読んだ本を取り上げ、子どもたちの反応や表情を盛り込んで書かれていることです。したがって、いきいきとしたガイドブックに仕上がっています。
 しかも絵本の表紙がすべてカラーなのも嬉しい。
 絵本はテーマ別(「いきもの」「ごっこ遊び」「たべもの」「のりもの」などなど)にされており、解説のあとには《ちょっとひとこと》として、同じ作家の作品や類書についても書かれていて、心憎い配慮がされています。またおはなし会で使われる"紙芝居"や"エプロンシアター"なども紹介されており、巻末にはお母さんの質問に答えるQ&Aもあるという、至れり尽せりの優れものです。
 新書でコンパクトな大きさはかさばらず、どこへでも持っていけ、読み物としても楽しく、知らず知らずのうちに赤ちゃん絵本通になれそうです。 もちろん、読み聞かせの活動をする人には、すでに出ている「絵本のあるくらし」(プーさん文庫編/吉備人出版)をあわせて活用すれば、おはなし会のプログラム、絵本選びでもう悩むことはありません。

書評:わたしのお気に入り
●『女トロルと8人のこどもたち<アイスランドの巨石ばなし>』

ヘルガドッティル作 ピルキングトン絵 / やまのうちきよこ訳 / 偕成社 
カネゴン

トロルといえば、がらがらどんのイメージがあった私にはこの絵本は衝撃的でした。
ここでのトロルは(見た目が)人のようで、トロルはトロルのくらしをしています。
愛し合った末に子どもを産んだトロルが、かわいい子どもたちを父親にひとめ見せようと
旅立つのですが、お日様に照らされてみんなあっというまに石になってしまうのです。
結局父親は子どもの存在すら知りませんでした。
この絵本ではこのアイスランドの子どもがお父さんからトロルの話を聞くという設定です。
絵が個人的にすごく気に入って、今まで見てきた絵本とは違った雰囲気(どんなんかわか
りませんね)で、アイスランドの大地が目の前にぱーっと広がる感じです。
それから、女トロルの母性愛には心が熱くなります。お父さんに会えなくてよかったのか
悪かったのか・・。
是非一度、読んでみてください!私はアイスランドに行ってみたくなりました。

おすすめえほん
「14ひきのぴくにっく」

いわむらかずお / 童心社
レインボー

画像使用については童心社に許諾いただいています。

 この「14ひきの〜」のシリーズは10匹の兄弟ねずみとその両親・祖父母の大家族の四季折々の生活を描いています。おはなしはとてもシンプルで詩的です。是非声に出して読んで下さい。
おはなしを堪能したら、さあ、紙面いっぱいに描かれた素敵な森の絵の探検です。

「あ、ちょうちょ!」
「てんとうむし、みっけ!」
「にっくんはどこにいるかな?」
「この花の名前は?」・・・・。

絵本を2倍、楽しんでみませんか?

エッセイ
■マリラ・クスバートの泣き■
吉田進み矢

 僕が大阪に住んでいた頃、テレビ大阪「朝の子ども劇場」で再放送している『世界名作劇場 赤毛のアン』にまともに感化され、一週間で全50話をレンタル&ダビングしてしまったことがあります。「おかあさんといっしょ」を吸い込まれるように凝視する幼児のように、全話通して2回観てみると、この作品の一番の見せ場は「マリラの泣き」ではないかなと断言するのですわ。
マリラ・クスバート(村岡花子訳ではク。高畑アニメ版はカスバートになる)は敬謙なクリスチャンで信仰心が滅法強く、感情を表面に出さないことを美徳としているんですわ。で、前半はなかなか喜怒哀楽が出ません。まあ、怒が一番多いですな。そのうちアンの女子性の天然さに大ウケし、喜&楽が頻繁に出てきます。しかし、後半はマリラの泣き=哀」の連続になるんですわ。その全シーンを挙げてみますと、

1)アンの身長がいつのまにか自分と変わらなくなり、また、以前より思慮深くなったことに気付いてしまい、言い知れぬ寂しさと深い哀しみを覚え、その日の晩、小さい頃のアンの服を抱きしめながらキッチンでマリラ一人泣き。
シリーズ初泣きシーン。(第37章)

2)アンがクイーン学院へ入学する前日の晩、ドレスを着て詩の暗誦をする立派に成長した姿を観て、「いつまでも小さいままでいて欲しかったねえ」と思わずアンの前でマリラ初落涙。アン「心の中は、これからもずっとマリラの小さなアンのままよ」。マシュウとTVの前の僕も半泣き。
(第41章)

3)アンがクイーン学院寮に入寮した日の晩、東の部屋にアンがいないことを考えた途端猛烈な寂しさに襲われ、枕に顔を押し付けてマリラ号泣。
(第42章)

4)マシュウの死(このシーンはアニメ版の完勝)。「あんたのことは自分の腹を痛めた子のように愛しいんだよ。あんたが来てから、あんただけが私の喜びであり慰めなんだよ、アン」というセリフ(ちなみに原書にはありますが、村岡訳ではこの部分はカットされているのですわ、これが)に、TVの前の僕が失神KO。
(第47章・第48章)

5)眼科医の診察を受け、「今の生活のままでは半年で失明」と診断される。絶望でマリラ慟哭。その後、アンがレドモンド大学への進学を取りやめグリン・ゲイブルズへ残ることを聞き、マリラ崩れ泣き。
(第49章)

6)アンのためにアヴォンリーの学校の教職を譲ったギルバートの優しさにマリラ嬉し泣き。
(第50章)

と、6回あるんですわ。マイベストはやっぱ(1)。
うまく描いてるんですわ、まったく。ちなみに、泣きシーン回数の1位はやはりアン。2位はダイアナで3位はルビー・ギリス。ルビーは『アンの愛情』で20歳の若さで結核で死んでまいます。関係ないですが、僕はこのルビーが一番タイプですな。僕は小説版も読んでいるのですが(村岡花子訳全10巻(新潮文庫))、アニメ版の方が面白いと、これは自信を持って断言。
原作のあるアニメや映画が原作を超えることは滅多にないと思うのですが、これはアニメの方がいいですな、マジ。この後少女文学ブームとなり(僕内で)、『秘密の花園』、『あしながおじさん』、『続あしながおじさん』と続き、現在『小公女』を読んでいくのでありました。

エッセイ
絵本の手前にあるもの その2
「家庭文庫に行こう」
ピグモン

 今年から、近所の家庭文庫のお手伝いを始めた。
うちの前の公園のそばに、古い路線バスを利用して、その家庭文庫はある。
バスの中は、絵本や児童書がぎっしり・・それに、おもちゃ、コタツ、運転席・・
ちょっと不思議な空間である。

小学校が終わる時間ともなると、ふらふらと子どもたちがやってくる。
絵本を借りに・・いや、なんとなくふらふらという子も多い。

そういえば、私が子どもの頃は、学校から帰ると、すぐに外に飛び出したもんだ。
うちは団地の中だったから、公園に行けば必ず遊び相手が居た。
だから、約束なんてものはしたことなかった。
外に行きさえすれば、誰かと遊べる。そして暗くなるまで、遊びまわったものだ。

さて、うちの子どもたちは、学校が終わって帰ってくるとたいてい家にいる。
「外に行けば?」「だって、誰も居ないんだもん」
友達は、お稽古ごとや用事で、なかなか遊べない。
小学生が遊びまわっている姿って、減ったように思う。
子ども自体も減っているが、なんか居場所がなくなった感じがする。

文庫に来る子どもは、本を借りに来るだけではない。
なんとなく・・・来て、おばさんとおしゃべりをして帰っていく。
昨日も一人、5年生くらいの男の子がやって来た。
文庫の中で、ふらふら本を見ている。
「なんか、探してるの??」
「いや・・・別に・・・」
「ハリーポッターあるよ。」
「それ、読んだよ。」
「どんな本が好き?」
「いや・・・・・いいや!」
しばらくすると、彼の友達がやって来た。

な〜んだ。待ち合わせだったのか。だったらそういってくれれば良いのに・・・

 

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