薔薇の埋葬 片翼・紗央里
第6話:選ばれた薔薇
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泣き声も、もはやとどく事はないだろう。
なぜ今まで、こんな事に悩んでいたのか・・・・それがおかしい半面不思議な気分だ。
天上を大きなカーテンが覆う。
自分は今何処にいるのか、それさえもわからずに自分はそっと目を伏せる。
この腕に君がいる事を望んで
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薔薇が沢山咲き乱れる温室の中で、紗織はソファにその身を預けて目を閉じていた。
身体がだるい、思うとおりに動いてくれなくてぼんやりとしてくる。
鼻をかすめる沢山の薔薇は、まるで麻薬のように彼女の頭の中を狂わせて言っていた。
手足が思うように動かなくて、冷や汗が流れてくる。
無数に自分を見てくる、自分と同じ顔の絵。
沢山の目が自分を睨みつけているように強烈で、また悲しい気分にせきたてていた。
「助けて・・可気朗さん・・・・」
かすかに開いた蒼い瞳から、少し涙が零れ落ちる。
寂しい・・・いいや、違う。
このままだったら、自分がおかしくなってしまいそうだ・・・そうそれこそ。
狂ってしまいそうだった。
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その頃ライドと可気朗は、まるで風が吹き抜けるごとく街の中を走り回っていた。
可気朗が地図を片手に、山の方を見上げる。
そこにそびえ立つ、真っ白い姿をした病院のような建物。
研究施設だ・・・。
「ライド、このまままっすぐ進めば研究施設に着くはずだ!」
「よっしゃ!」
可気朗の言葉にライドが大きくジャンプをする、階段を五段飛ばしで降りるとライドは
見事に着地をして、再び走り始めた。後ろからおってくるのは無数のゾンビ。
それを、ライドが火で焼きながらのけていく。
「おらおら!!のけ!!墨にしちまうぞ!!!」
ライドが大きく手を振りかざす、炎が甲を画きライドと可気朗の道を塞いでいたゾンビを
まるでちりちりになった墨のようにしてしまう。
大きな爆発音が辺りを響かせ、地面を揺らした。
ライドのつけた火がどうやら、民家のガスに引火したらしい。
炎がすごい勢いで燃え、後ろを追ってきていたゾンビ達の道をふさぐように立ちはだかる。
その間に、ライドと可気朗は前へと進んだ。
「みたか!俺のナイスな作戦!」
「・・偶然だろ!?」
紙をぐしゃぐしゃに丸め込み、炎の中に捨てていく。
研究施設はもう目の前だ!!!
そう思うのもつかぬま、2人の前に立ちはだかった白い建物、研究施設にライド達は
乗り込んだのだった。
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「よし、じゃあパスワードを入力して・・と・・・」
可気朗が、ここまで来る間に覚えておいた相性番号をぽんぽんと電卓のようなパスワード機に入れる。
文字が緑色の光を放ちながら、ちかちかと赤いランプを照らすと。
研究所のドアはひとりでに開いてくれた。
ドアを開いて見えたのは、暗い廊下。
もう誰もいないように、廃墟とかしてしまった廊下・・・。
つい先日までは研究員がいたのに、この研究施設はもう10年以上も使われいないような廃墟感が漂っていた。
可気朗が先に足を踏み込む、ジャリという音がして壁の残骸を踏みつけたのに可気朗は気が付いた。
何かのコードが無数につながった壁、ヘンな模様が描かれたドア。
プレートが立ててある部屋の天上。
可気朗の後に入ってきたライドは、廃墟とかしたこの研究施設をみて、ふうとため息を付く。
「可気朗、どうする気だ?ドッチに行く?」
ライドが目の前に広がる暗闇に向かって言った。
「そうだな・・・・俺は右に行くよ。お前は左に行ってくれ」
可気朗の言葉に、ライドはこくりと頷くだけだった。
暗闇の廊下にはもちろんだが先がある、普通の人だったら見えないであろう暗闇も彼ら神霊能力者だったら、簡単である。
この先・・そう20メートルほど行ったところに分かれ道があり左右に道が分かれている。
両方から強い神霊反応があることから、どちらかに紗織がいるかもしれない。
でも、もう片方はなにか強力な神霊能力者がいるかもしれない。
こんな場所で、1人になるのはかなり不安だった。
だが、この状態である。
幸いにも、彼らは2人とも普通の人間でもなければ、弱くもない、むしろ強い。
ひとりになっても、みすみす殺されるわけには行かないのだ。
互いに目線を一度交わしておきながら、左右の道へと分かれていく。
暗い廊下に2人の足音だけが響いていた、そしてやがて足音は聞こえなくなる。
自分の物意外は聞こえない、ただの暗闇へと
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ライドと分かれた可気朗は、しばらく歩いた後明かりがついている廊下へと出た。
窓は何処にもないが、上の方を照らしてくれている蝋燭が二メートル程間を開いておいてあるので、ちゃんと足元を照らす事ができた。
階段を上り、ドアを開ける。それの繰り返しを二回した後、可気朗は1つの部屋へたどりついた
神霊能力者の力・・・霊気といった方がいいのか。
その気配が、この先に感じる。
もしこの気配が敵の者だったら・・・・ケンティフォーリアとの戦いは避けられない。
そう考えると少しあけるのに決意がいるような気がしてきた。
彼女でありますように・・・・・
そう可気朗は願いながらドアを開けた。そして目を大きく見開く事になる。
「こ・・・これは・・・・」
可気朗がドアを開けた瞬間、その鼻をかすめたのは大量の薔薇の香りだった。
少し足を踏み込めば、靴の下敷きになった薔薇のくしゃと音を立てる。
あたりは本当に薔薇一色だった。
どれもこれもが綺麗に手入れをされていて、美しく咲き誇っている。
そんな薔薇の中にある1つのソファに倒れこんでいる一人の少女。
黒い髪が顔を隠していて表情までは見れないが、可気朗にはそれが紗織だとすぐにわかった。
「紗織!」
薔薇を踏んでソファに駆け寄る、急いで抱き上げると彼女はかすかにみじろきをして目を開けた。
淡いスカイブルーの瞳が可気朗をぼんやりと見つめる。
「可・・・気朗・・さん?」
「ああっ!俺だ・・・紗織・・!なんでこんなところに・・・・」
可気朗が安心したような心配したようなどこか不思議な表情をしながら紗織に問い掛ける。
彼女は少し考え込むように顔を曇らせたが、すぐに口を開いた。
赤い唇からは小さな声がつむがれる。
「私・・・可気朗さんの・・お役に立ちたかったんです・・・。貴方と・・貴方と一緒に
傍に居たかったんです・・・。1人だと・・・不安で・・しょうがなかったんです」
声が震えている、蒼い瞳から沢山の涙が零れ落ち真珠のような雫が頬を伝って可気朗の手に落ちた。
まるで小さな子供のように紗織は手の甲で自分の涙を何度も何度もぬぐう。
それでも止まってくれない涙に、彼女は無理やり笑みを浮かべながら可気朗にふかぶかと頭を下げた。
急な出来事に、可気朗はしばらくどうすればいいのか迷い、彼女を見つめる。
紗織は、頭を何度もお辞儀をして零れる涙をふきもせずに謝った。
「ごめんなさいっ・・・私・・・もう・・もう・・お仕事手伝いたいなんていいません・・・
だから・・だから・・・置いていかないでっ・・・・おねがい・・・」
「紗織・・・・」
「可気朗さんっ!」
勢いよく、紗織が可気朗の腕の中に飛び込んでくる。
ううっと涙を零しながら、可気朗の胸の中で彼女は泣きつづけた。
そんな、紗織をしばらく辛い瞳で見ていた可気朗だが彼はすぐに真剣な表情をすると
紗織をぎゅっと抱きしめて、目を閉じた。
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薔薇の花びらがかすかに空中をまって、沢山の絵がかけられているこの温室のような部屋で
可気朗は紗織を抱きしめていた。
不安でしょうがないのかもしれない・・・自分の記憶がなくて、誰とあったかも誰と何をしたのかさえも分からずに、ただ前しか分からない。
新しい記憶も、昔の記憶なんかじゃない。
だからこそ、今自分がいると言う事を証明して欲しい人がそばにいて欲しいのかもしれない。
「紗織・・・もう大丈夫だ・・・。もう・・・離さないから・・・どんな時でもそばにいるから
お前の・・・傍にいるから・・・・」
紗織を抱きしめる腕の力が知らずの内に強くなる。
淡い香りが鼻をかすめていた。それは薔薇のきつい香りなんかじゃなくて、もっと他の違う香り・・・。
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可気朗が紗織と再会を果たしていた頃、ライドは大きな広間のような所に出ていた。
多分、大きな会議をしたりする時に使ったりするのではないかと思われる。
「ほ〜〜〜広いなぁ」
上を見上げると、大きなステンドガラスが天井を覆っていた。
赤や黄色の色とりどりしたガラスが夜の星をきらきらと光らせている。
そんな中、ふと攻撃的な気配を感じてライドは大きくジャンプをした。
ライドがさっきまでいたところが大きくえぐれ、ぱらぱらと砂が巻き起こるような感触を覚える
「鼠が入り込んだな」
「鼠じゃなくて、人間だ。そう・・強敵のな」
ライドが声の方向へと目を向ける、そこにいたのは一本の薔薇を持ったケンティフォーリアだった。
ケンティフォーリアが不適に微笑む。
彼の顔はどこか、不思議な感じがしてならなかった。そう悲しんでいる顔でなければ嬉しそうな顔でもない。そして怒っている顔でもない。
まるで無顔のようである。
ライドがケンティフォーリアを見る、自分がケンティフォーリアと当たったという事は
今ごろ可気朗は紗織と再会する事ができているだろう。
そう思うと、少し心の奥でほっとする自分がいる。
そして、目の前にいる恐怖という色の気配も怒りの気配も見せないケンティフォーリアに少し腹を立たせている自分がいる。
さっきの攻撃だって、ちゃんと避けれたから別にかまわない。
けれども、ライドには納得がいかないのだ。
ケンティフォーリアからの気配は無の感情のみ、無は何も表さない。
だから、彼が何処からやってくるのかが、普通の人間よりも少し遅れてしまう。
その遅れが多分、命取り。
「鼠は鼠らしく退場した方がいい。そろそろ時間だ」
ケンティフォーリアが腕時計を見ながら、薔薇をすっと目の前に差し出す。
その薔薇はひゅんっと円を画いて、鞭になり、びしぃとすごい音を立てて地面を打ちつけた。
「それがお前の神霊か」
ライドがにやっと口元を笑わせながら、ケンティフォーリアと薔薇の鞭を見る。
さっきまで、ただの華だった薔薇がいつの間にやら、強力な鞭へと姿を買えている。
それが、ケンティフォーリアの神霊なのだ。
おかしいと思っていたのだ。
ケンティフォーリアの実験も、神霊能力者のDNAがなければできない。
そして、神霊能力者はあたりまえだが多くない。
数少ない確率で生まれてきた能力のある者が、試練に向かい。生きて帰ってきたら・・
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神霊能力者なのだ。
という事は、ケンティフォーリアもライド達と同じようにあの試練を受けたのである。
「死にたくないなら早く逃げるんだな!」
ひゅんっと空を切って、鞭がライドを襲う。
ライドは突発的に右空中へと避け、手を大きく振りかざしケンティフォーリアに向けて炎をはなった。
ものすごい炎がケンティフォーリアへと向かっていく。それをケンティフォーリアは
鞭をまわすことで防いだ。
そんな攻防戦がしばらく続く、ケンティフォーリアが鞭を使ってライドに迫れば。
ライドは炎を使い、ケンティフォーリアをとうざけ、また攻撃を加える。
しかし、ケンティフォーリアも負けてはいない。
遠くから攻撃のできる薔薇の鞭で、ライドを壁ぎわにせめて、叩く。
彼の攻撃パターンはある意味天才的であろう。
「くそっ!きりがねぇよ!」
ライドがしびれを切らして、炎を大きな机に燃え移らせる。
机の炎な一瞬だけだったが大きな柱を立たせて、沢山の火の粉をあたりに撒き散らした。
その瞬間である、ケンティフォーリアの薔薇の鞭がその炎の間からライドに向かってきたのは
すごいスピードで迫ってきた鞭をとっさの判断で右に避けたが、それは相手に読まれていた。
ケンティフォーリアは先回りをしていて、ライドを鞭で多きく叩き落すと
壁際に押さえつけ、喉元に鞭をつけた。
「くそっ・・・・」
薔薇の花なのに、異常なまでに強い力を持つこの鞭にライドは歯を食いしばった。
喉元を押さえる強烈な力、ぞっとするぐらい感情を表していない瞳。
彼はある意味、一番怖い存在だった。
「鼠は・・帰る場所に帰るべきだ・・・」
ぎりっと喉に強い力がかかる、息が止まるような感触でライドは手をぐぐぐと動かし鞭を動かそうと努力した。
だが、鞭はぴくりともせず、ライドの首を押さえつける。
鞭が今まさにライドの首をしめおろうとしたときである、ごんっという何か大きな音にライドは目を開けた。
首はちゃんとついている、そしてさっきまで自分の首を押さえていた薔薇の鞭と
その使い手ケンティフォーリアの姿はない。
そして、目の前に変わりにいたのは一人の男性だった。
「まだ生きているのなら、手伝うんだな」
「・・・なっ!!お前!!!!」
「戦うのか・・?戦わないのか・・・?」
かすかな風に揺られて、金と銀の髪がライドの視野の中でゆらゆらと動いていた。
目の前にいる2人の男性の言葉に、ライドは言葉を失う。
ライドを助けてくれたのは、まぎれもないヘブンズドアのデュオとジャゲンだった。
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(管理人からのコメント)
実質最終回となってしまった第六話でした。ケンティフォーリアは神霊能力者で御座いましたねぇ。
なにやら可気郎と紗織ちゃんがラヴラヴだなあ…なにゆえかデュオ&ジャゲンが登場、どうやら助けてくれた模様。
さあて、さおちゃんの趣味大爆発だそうですがw、こっからどうなりますやら、ケンティフォーリアの行方は?
ライドと彼の勝負は!? そして可気郎と紗織ちゃんのラヴの行方やタコにい!!ww
皆さん、後は脳内転回させるなりなんなりしてあげてくださいw
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