薔薇の埋葬 片翼・紗央里
第4話:思い描いた薔薇
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誰しも、一度や二度、失敗をすることぐらいはあるだろう。
その失敗を二度としないために、改善して、頭を悩ます物だ。
彼、サラバンドもその一人だった。
彼は、最初は小さな小さな細胞に過ぎなかったのだ。
それこそ、本来なら捨てられてしまうはずだった失敗作である。
当初、その失敗作を捨てようとした男性、カジノ博士はある青年によってとめられた。
たった、18歳でこの研究所にやってきた青年。ケンティフォーリア博士にである。
サラバンドは、ケンティフォーリアに助けられたような物だった。
彼は、サラバンドはもう意識をもち始めていることを感じ、処分することを拒んだのだ。
サラバンドは、最初処分されるということが分かっていなかった。
だが、自分と同じく、ケンティフォーリアに助けられなかった細胞達が、朝目を覚ましたときに
少しずつ姿をけしていくのを見て、彼は考えた。
―自分も、彼らと同じようになるのだろうか―
と
彼はケンティフォーリアにいろんな事を学んだ。
言葉、歴史、歌や童話まで、ケンティフォーリアはまるで自分の子供に読み書きを教えるように
熱心に、彼を勉強させた。
そして、彼はしってしまったのだ。
自分には自分という感情がある。自分には他人に従う理由なんてない。
そう、自分は自由なのだから。
仲間がほしい・・・・彼の心はただそれだけを求めていたのだ。
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今夜は満月が綺麗に浮き出ている。
サラバンドは、足を引きずりながらどこか静かな口調で目をとじた。
さわさわと草の揺れる音がして、自分の手をつけている場所が、どこかこそばゆい。
『ケンティフォーリア・・・。自分は寂しいんだ・・・。ずっとずっと・・一人は嫌なんだ』
気が付けば、サラバンドの横に一人の子供が立っていた。
赤茶色の髪をして、そばかすをつけた、かわいらしい少年は、首に薔薇の模様をつけていた。
少年が言う。
「サラバンド、大丈夫だよ。僕達はずっと君のそばにいる。汚い大人なんかとは違う」
「そうだよ、サラバンド」
「サラバンド、泣かないで」
少年の言葉の後に、少女の言葉や違う少年の言葉もいつのまにやら混ざっていた。
そして、少年が居た場所にはたくさんの子供達が集まっていたのである。
子供達は皆、首元に薔薇の模様をつけていた。
そんな子供達をみたサラバンドが、どこかゆっくりと立ち上がる。
赤茶毛の少年が、サラバンドの肉が剥がれ落ちた手をそっと包み込むようににぎった。
「行こう、サラバンド。大丈夫だよ。僕達はずっと一緒だ」
『ああ、ありがとう。自分は一人じゃないんだね・・・。もう仲間がいるんだね』
「そうだよ、サラバンド」
「行きましょう、サラバンド」
子供達に囲まれて、サラバンドはどこか優しげな微笑をもらした。
この顔では、微笑だなんて分からない・・・。だが、彼は今幸せだった。
自分をずっと見てきた、大人達・・・。
役に立たないと知るとすぐに処分したがる、大人達。
ケンティフォーリアが居なかったら・・・今ここにいる彼らが居なければ。
足をゆっくりと進める、サラバンドはこのとき初めて、自由を知ったような気がした。
そして、この自由を・・・この気持ちを、あの人に教えてあげたいと思った。
いつも孤独で、いつもなきそうな目をしている彼に・・・・
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「くそっ!!!なんでなんだ!!!」
沢山のビルが並び立つ、通りを可気朗は走っていた。
かれこれ、もう30分近くも走っている彼は息1つ切らさず、ただ一身に走っている。
そんな彼が、走っている理由は30分ほど前、虎の刃が紗織がこの街に来ていることを知らせたからだった。
こんなゾンビ達が沢山徘徊しまわっている、スリーピーホロウに紗織が来ている!?
彼の頭は一瞬、真っ白になってしまった。
そして、その後すぐである。遠くに見える使われていない廃ビルから黒い稲妻が走ったのは。
可気朗はそれをすぐに、彼女が暴走した時に見せる雷だと知った。
そして、急いでライド達とそこへ向かったのだが、彼女を見つけることはできなかった。
アレから30分近く捜したというのに、一向に紗織は姿を見せてくれない。
それどころか、ゾンビ達も姿を見せてくれなかった。
ライド達と別れて、捜索をしているために。どうしても戦力が分離されてしまう。
これは早く見つけないといけない・・・。可気朗はそう思わずにいられなかった。
そんな時である、可気朗は向こうの通りにある家を見つけた。
電気がついている所為か、可気朗の視野に止まり、誰か居る可能性がでてきた。
誰か居るのは心強い、たとえそれが民間人でも、何があったのか聞くことぐらいはできる。
可気朗は、ゾンビが出ないことを祈りながらゆっくりと、家へ近づいていった。
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家からは、誰かの話し声が聞こえているようだった。
上手く聞き取ることはできないが、三人ほどだろうか・・・・・。男性の声がする。
窓の方へ近づいて、可気朗がもっとよく聞こえるようにしようとした時である。
急に、家のドアが開き。その中から出てきた人物をみて可気朗は驚いた。
「可気朗?」
「マイン!!!」
家から出てきたのは、マインだった。
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薔薇の香りが、鼻をかすめる。
紗織は、みじろきをしながら、目を覚ました。
なんと言ったらいいのか、薔薇のにおいがきつすぎて、目を覚ましたといったほうがいい。
そして、彼女は自分の寝転がっていた下が薔薇でまるで絨毯のように惹かれているのに気がついた。
どこかの温室だろうか・・・。
目を凝らしてみれば。近くにソファーが見える。上のほうや壁のほうは、暗くて見えなかった。
「目を覚ましたんだね、シャルル」
「え・・・・」
ふと、誰かに声をかけられて紗織はそちらのほうを向いた。
がちゃりと言う音がして、温室の中に一人の男性が入ってくる。そうケンティフォーリアだ。
ケンティフォーリアは、紗織の所までやってくると、しずかな微笑を見せて
まだ薔薇の上に座っている、紗織と同じ視線に座った。
「もう、目を覚まさないのかと思ってしまった・・・・」
「あの・・・」
ケンティフォーリアは紗織を見るというよりも、誰か違う人物を見るような目で彼女を見ていた。
もっと、違う誰かを見ているような目。遠い過去を見るような眼で。
紗織は、少しそんな彼を怖く感じてしまった。
その所為かどこか手が勝手に振るえてしまう。それに気がついたのかケンティフォーリアは
くすりと微笑んで、紗織の頬にそっと手をそえた。
「怖かっただろ?大丈夫。カジノ博士はもうこの世には居ないよ。君を傷つけた人は、自分で薔薇に埋葬されたんだ。シャルル。もう怖い思いをしなくていいんだよ」
「シャルル・・・。あの誰かと勘違いをなさってませんか・・・?」
「何を言うんだ。シャルル。しっかりしてくれ。大丈夫。少し錯乱しているだけだ・・・。君はすぐによくなるから」
ケンティフォーリアが紗織の長い黒髪を静かに指に通しながら、もう一度優しく微笑んだ。
どこか、悲しすぎてこっちが泣いてしまいそうなぐらいな笑顔。
彼はすぐに、立ち上がると、紗織のいる温室から出てかぎを閉めた。
がちゃっと言う音がして、ケンティフォーリアの背中が遠くなる。
ケンティフォーリアは、部屋から出る前に、温室の電気をつけてくれた。
そして、一言「いってくるよ」と言葉を残し、去っていった。
その言葉が、どこか異常なまでに寂しい・・・。彼を全然知らない紗織だが。
どこか、あの言葉は身近な辛さを思い浮かべるような物だった・・・・。
そんな彼女は、ケンティフォーリアの背中を見送って、電気がつけられたこの温室を見上げた瞬間、言葉を無くしてしまった。
目が大きく見開かれ、突発的に口に手をやってしまう。
彼女がそこで見たものは、壁に掛けられている、沢山の肖像画だった。
しかも、全てが全て、どこか紗織をもっと大人っぽくした感じの女性の絵ばかりだったのだ。
同一人物が沢山の額縁に笑いもせず、どこか冷たくも美しい表情を見せているのだ。
その絵に書いてある女性は、全て真っ白なドレスに身を包み、黒い髪をたらしている。
目は、青い海のようにすんでいて。それはそれは美しかった。
「こ・・・これは・・・・・・」
紗織は、ゆっくりと立ち上がると、一番地面に近い場所に掛けられている絵を見た。
その絵は、絵の女性が薔薇に包まれた部屋でソファーに座っているという絵。
いざ、こうして絵を見渡してみると、どの絵も薔薇に包まれている絵だった。
そして、どの女性も笑っていない・・・・。
そして、彼女は絵のはしっこに、何かの文字がかかれていることに気が付いたのだ。
『シャルルよ。永遠に薔薇の香りと共に』
「シャルル・・・・・」
彼女は、まるで心の中にその言葉を刻み込むかのようにゆっくりと発音するのだった。
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その頃、ライドと虎の刃は大きなデパートの中を歩いていた。
場所は、食料品売り場。明かりがついていないせいで、どこか冷たい不陰気があるが
歩いていると、沢山の食料が机の上に並べられていた。
その机に置いてあったイチゴをつまみ食いしながら、ライドは歩く。
足を向けるのは、がしゃがしゃと何かの機会音がする、方向。
何かある・・・。そう思ってライドは足をじゃっかん早めに歩いた。
虎の刃が、どこか心配そうにライドを身ながら言う。
「ご主人様・・・この先に何があると思ってるんです?」
「簡単!機会だから何かの装置にきまってる!!」
ライドは拳を握りながら、虎の刃にどこか熱い目で頷いた。それを聞いて虎の刃がかすかに頭を傾げる。
別に、機会の装置があっても変じゃない。
だが・・・なぜ食料品売り場に行こうと彼は思ったのだろうか・・・・・。
虎の刃は結局分からないまま、ご主人であるライドの後をついていくしかなかった。
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闇の中、かすかに光る明かりのような物がある。
ライドは、その光をこっそりと見るように、影から頭だけを出して覗き込んだ。
幸い、ライドが見たものはゾンビではなかった。
だが、何かの難しいパソコンのような物がたくさんのチューブにつながれている。
ライドはその光っているパソコンを見ると、そっと触ってみた。
すると、機械音のようなものが聞こえてくる。
『暗証番号を入れてください』
「なにか、パスワードが居るみたいですね・・・・」
虎の刃が、ゆっくりとした足取りでライドの横にやってくる。
ライドは腕を組むと、考え込むように頭を傾げてしまった。
暗証番号・・・。彼は前にも言ったとおり。頭で考えるのが苦手である。
そのため、全ては可気朗に任せきっている。
だから、こういうふうにいざこんな物がでてくるとまったくもって困ってしまう。
まだライドと可気朗があって間もない頃に、一度。こういう時の対処法を教わった。
だが、なんでも力任せがおおいライドはそんなこともぱーーと忘れてしまうのである。
虎の刃が困ったように言った。
「どうしましょう・・・ご主人様」
「あ〜・・・適当に押してみるか」
「えええ!?」
こまった、虎の刃がライドに話し掛けたときである。ライドは躊躇なく、手をパソコンに伸ばし
キーを適当に押してしまったのだ。
ぱこぱこと言う音が聞こえてきて、パソコンの画面に誰かの顔が浮かんでくる。
それを見て、ライドが満足そうに言った。
「あっ、もしかして暗証番号あってたのか??」
「そんな馬鹿な・・・・」
虎の刃が、そのときライドの運の強さに舌を巻いたのはまた後の話になる・・・。
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さて、暗証番号を居れてでてきた人物は。ライドと虎の刃にとって見たことない男性だった。
白髪をして、灰色のにごった瞳をしている老人。データが横に出て
名前のところに『カジノ・ハーベル』とかかれていた。
年齢は73歳。どうやら、このスリーピーホロウの丘の上にあるといわれている研究
施設の
人物らしく、データーからして、一番偉い人物みたいだった。
ライドがマウスをクリックしながら、次の写真を取り出してくる。
次にでてきたのは、女性だった。だがただの女性ではない。
紗織にどこかよく似た、黒髪に青い瞳をした女性で。どこか紗織をもっと大人っぽくした感じだった。
真剣なまなざしが、本当に美しく。ライドは少し顔を赤くした。
「綺麗な人だなぁ・・・。なになに・・『シャルル・エフィル』生物学捜査研究所より派遣された、FX―R2サラバンドの監視人だったが、5年前の事故により、死亡を確認・・・・」
白衣をきたその女性は、どこかやさしげだがどこかすらりとした目つきをしていた。
5年前という事は、このデータ―は5年は立っていないということになる。
ライドはもう一度、マウスをクリックして次のページを開いてみた。
次にでてきたのは、男性である。藍色の髪に赤い目をした男性もまた、シャルルと言う名の女性共に、同じような白衣を着ていた。
「なになに・・・『ケンティフォーリア・ティーファルベン』18歳で当研究所に派遣された、天才学者。FX―R2サラバンドの監視人として『シャルル・エフィル』と共
同研究を行い。五年前のスパイ事件でスパイと確定され暗殺される」
データーはほかにも沢山の人物を入れられたあった、だがどれを見ても最初の三人に感じるようなものを持った研究者達は居なかったのである。
虎の刃が横で、どこか暇そうに手を地面に何度も何度も当てている。
それを見たライドは虎の刃のことも考えて、そろそろこのパソコンでデーターを見るのをやめようと考えた。
そして、電源を切ろうとしたとき。ふと、端っこのほうに削除されたデータ―があることに気が付いたのである。
ライドがそれをクリックすると、中から出てきたのは一人の男性の顔だった。
金髪をして、どこか浅黒い肌をしている。肩幅がたくましく、研究員というよりも探
検家や、ライド達のような厄介払いやのようなきがした。
名前のところには『チャイナ・クローズ』とかかれている。
歳は三十後半ぐらいだろうか・・・。その割には若く見え。データ―にはこう書かれていた。
「『チャイナ・クローズ』五年前の事件により、『ケンティフォーリア・ティーファルベン』の監視不届きにより、FX―R4ネイロンの監視人を解くものの、FX―R4ネイロンと共に脱走。行方が知り次第、暗殺命令がでている」
「暗殺命令・・・・・」
ライドがどこか、真剣な目つきでチャイナ・クローズの顔を見る。
彼は、何か知っているのではないのだろうか・・・・。それにサラバンドとネイロンという名も気になる。
なにより、彼がこのスリーピーホロウに居るのはどうやら確かのようだ。
このデーターは削除されていた物だから、たまたまごみ箱にはいっていたデーターを
ライドが見つけなかったら、分からなかった。
しかも、このデータ―はつい最近、更新されたばかり・・・。
という事は、このチャイナ・クローズ本人が、このデータ―を消した可能性が高い。
「虎の刃!」
「はいっ!ご主人様!!!」
ライドは、パソコンに一発、拳を叩きつけ、壊すと。すぐに食品売り場から立ち去ったのであった。
「どういうことか・・・説明してくれないか?」
可気朗は、どこか真剣な面持ちで目の前に傷だらけで座っているシュートとマインに話し掛けた。
「説明?どこからだ」
「お前らが説明しなくちゃいけないと思うところから。それとそこに居る男のこともな」
可気朗が目線を向けた場所には、一人の男性が座っていた。
浅黒い肌をして、金髪でなかなかがっしりとした体つきの男性。服は白衣のような物を着ている。
なにより、可気朗がここにきたのは、一軒の家に明かりがつき。誰か居るのかと思ったからだ。
案の定、人はいた。ただし、顔見知りの二人と、明らかに普通の街人には見えない男だけ。
あの時、可気朗は耳のいいマインに部屋を覗く音を聞かれ、見つかってしまった。
マインはシュートと共に、この男性にかくまってもらっているようで、この家もこの
男性の物らしい。
もちろん、得体の知れないこの男性の家に入るのは少々、拒むことがあった。
だが、マインとシュートがとりあえず信用の置ける人物だというので、ここに入ったのだ。
マインが、足を組みながら可気朗に言う。
「俺達は、リーダーに聞いたと思うが。このスリーピーホロウに調査に来た。だけど、人はいない。しかも、来た直後にゾンビ達に襲われた。その数が多すぎてな。二人で相手をするにはかなり苦労が強いられていたんだ。」
「そんな時、この男が俺達を助けてくれた。秘密の抜け道って奴をつかってな」
シュートが、その男性を見ながら言う。男性は、ただ意味深に可気朗の事をみて、目をふせてしまった。
もちろん、それはしんどいとかそういう意味じゃない。どこかあきれている意味だ。
そんな表情をされて、可気朗がむかつかずに居られるはずがない。
可気朗は、その男性を向いて、仁王立ちのように立つと、男性を睨みつけた。
「おい。お前何者だ。普通の街人じゃないだろ」
「ああ、俺はお前達が襲われていたゾンビ達を作った奴らの仲間だった者だ」
「どういう意味だ!?」
「あのゾンビ達に植え付けられた遺伝子を作ったのは俺達だといってるんだよ」
男性は平然な顔をしながら答えた。可気朗はそんな男性をみてただ呆然とするだけだった。
このスリーピーホロウに来てから、襲ってきたゾンビ達。
中には研究者らしき、白衣をきた人間も居たが。そんなのは数人。
ほぼ全部が、このスリーピーホロウで暮らしていた大人達である。
最初から、なぜこのスリーピーホロウの住人がこんな風になってしまったのか疑問があった。
なにかの病気?ちがう、それならこんなに一気に進行しないはずだ。
なら、考えられるのが感染だ。
しかも、普通の感染物じゃない・・・。それこそ危険レベルが一番高い感染物だ。
この男性が言うことを信じると、ここの住民達は、何者かによって感染物。
つまりは、何かの遺伝子を埋め込まれた。
多分、それは傷つけられたりすることによって感染するのだろう。
最初は、研究者達。二日前に大人が数人殺された。彼らはあの後、ゾンビに変わり住民を襲う。
すると、その襲われた住民は、また同じゾンビとなり、仲間を増やそうと襲いだす。
その結果が、これだ。
街は二日間で、ゾンビの町。ゴーストタウンに変貌してしまったのである。
「お前は・・その感染源を知っているのか?」
「ああ、知っている。FX―R2サラバンドだ」
可気朗が、考え終えた後、男性に聞くと、その男性はサラバンドという名をだした。
サラバンド・・・なぜだか、可気朗はその名前をこの街に来て聞いたような覚えがあった。
もちろん、誰かから直接というわけではない。
ただ・・そんな気がする・・というだけである。
男性は話を続ける。
「FX―R2サラバンド。それは5年前、警察機構によって作られた研究施設で研究されていた物だ・・・。簡単に言えば。小さな細胞。ただし普通の細胞じゃない。自分で考え学習する。つまり成長する細胞。FX―R2サラバンドは俺の知る限りでは沢山実験された細胞の唯一、成功した遺伝子だ」
「成長する・・細胞・・・・成功した遺伝子?つまりは、そのサラバンドという奴が、このゾンビの原点だと?」
「そういうことになる。奴は仲間を増やす方法を自分で学習したんだ。自分の遺伝子を沢山分け与えることによって、同じ物を作り出すという芸当をな」
男性の目がどこか遠いような目をする、可気朗達は、それを見逃さなかった。
彼は、なぜこんなことを知っているのだろうか。
彼が言うことを深く読むと、彼はあの研究施設で働いていた・・ということになる。
しかも、かなり深くかかわった人物。
サラバンドという、遺伝子体が自分の意志を持ち感情を持ち、また強い欲望をえる。
しかし、それは全ての原理に反することだ。
人間が、生き物を作り出す・・そんなこと本来なら許されることではない。
それが、共存というなで締めくくられた道なのだから。
そんな中、マインが男性に話し掛けた。
「さっき、仲間だったっていったな。じゃあ、今は違うのか?」
「俺は、5年前の事件でその研究施設を抜けている。EX―R3ネイロンと共にな」
「EX―R3ネイロン?それはもしかしてサラバンドと同じ遺伝子体か?」
「ああ、サラバンドと一緒に実験されていた沢山の遺伝子体の1つだ。」
「そいつは今どこに?」
シュートが、男性に聞くと。男性は口を頑なに閉じ、目をするどく細めた。
強いようでもあるが、どこか弱い目線に可気朗は一瞬、焦りを感じてしまう。
しかし、そんな表情をしていたのもつかぬま、男性はすぐにふっと笑いを漏らすと、奥の方へと足を向け、寝室から1つの液体が入った。大きなカプセルのような物をもってきた。
両手で抱くぐらいの大きさはある。
そして、カプセルには緑色の液体が入っており、その中をまるで母親のおなかの中にいる胎児のように、浮いているなにかの細胞を見つけた。
大きさはざっと、手で包めるぐらいだろう。
「これが・・・ネイロン?」
「ああ。ネイロンはサラバンドとは違う。感情も意志もほとんど持たない・・・一生」
男性がどこか寂しそうにつぶやく、ネイロンは本当にただの細胞だった。
生きているという証拠もない、ただ、植物状態のように保存されているだけ。
それでも、この男性は、ネイロンを処分することができなかったといった。
ほんの少しでも、ネイロンは感情を持つということができる可能性があったからだ。
「ネイロン達はこの液体がないと生きていけないんだ。だからこうして保存している
・・いや、生きてもらっている」
「液体・・・。この液体がなかったら。ネイロンはどうなるんだ?」
「もちろん、生きることができない。身体が腐食して死んでしまうさ」
その言葉を聞いた瞬間、可気朗はあることに気が付いた。
この緑色の液体がないと、ネイロンは生きていくことができない、それはサラバンドも同じ。
なぜなら、彼はネイロン達としっかり言っているからだ。
なら、研究途中のサラバンドはしっかりとしたカプセルの中でこの緑色の液体に使っていたはず。
それはもちろん、外の何かと接触しないために頑丈に作られていたことだろう。
なぜなら、サラバンドの身体を腐食させて死なせないためだ。
なら、サラバンドはどうやって遺伝子を感染させるのか。
答えは1つ、サラバンドが外にでてきているということだ。
そう考えると、全てつじつまがあってくる。
サラバンドは何者かの手によって、外に出され、仲間を増やすために感染者を作った。
そして、今なを、サラバンドは野放しにされている。
可気朗は、背中に寒気のような物を感じた。
嫌な予感だ、もっと危険なことが起こりそうな予感だ・・・・。
「おいアンタ、その研究所の場所を教えてくれ・・・・」
可気朗は、どこか焦りの帯びた瞳で。男性に話し掛けていた。
NEXT
(管理人からのコメント)
第四話ですた、キャラクター達がなんだか寂しく悲しいなあなどと思いつつ毎度楽しく読ませてもらってました。
読みふけってたなぁこれ、いやはや懐かしい。
第五話へGO!
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