あれから二十分後、城の前に集まった人三人とロボット一体の奇妙なパーティー。
「ところでスタン。王様と王妃様はOKしたの?」
ホワイトの疑問は当然。たとえ怪力であろうが一国の姫である、いきなり それも暇潰しに自分を狙う一団のアジトに、わざわざ自ら突撃しようと言うのだ。
両親であるところの王と王妃が黙ってないのが普通である。しかし姫様はあっさりと答える。
「うん、問題なかったわ」
「今までが今までだけに、止めても無駄だってわかってんだろうさ王様と王妃さまも」
「ま、そうでしょうね」
「お前……、それがわかっててなんで自重しないんだよ?」
「そうやでぇ。自覚があるんやったらもうちょっと傍若無人は控えな」
「やりたいことができないことほどイラつくことはないのよ。おわかり?」
「そらわかるけどよ……」
「はいはい……、ここで不毛な言い合いしてても時間の無駄だからさっさといきましょうよ」
溜息混じりのホワイトを見て、姫様も同じく「それもそうね」と歩き出す。
「ったく、出かける前から疲れるぜ」
「自業自得よ佼、スタンと何年付き合ってると思ってるの? でスタン? 今日はどこまで行くつもりなの?」
「ま、ざっとアチラヘンまでね」
「ざっとっておい……いっぱいいっぱい歩いてようやくだぞアチラヘンって」
「三日でテキ塔攻略のノルマに変更なしよ」
「ノルマやったんか?!「ノルマだったの?「ノルマだったのかよ?!」」」
三人の驚愕にも、姫様はいつもどおり。
「うん、父さんと母さんに一週間ぐらいで帰って来るって言っちゃったしね。心配かけるわけにはいかないでしょ?」
「たまに普通な部分が見え隠れするんだよなぁスタンって」
「あたりまえのことをあたりまえに言ってなにが悪いのよ?」
「いやまあそうなんだけどもさ」
「それはたぶん、王様と王妃様の教育があったから、そういうところは普通なんじゃないかなぁ? ねえスタン?」
「そう言われても、他がどうだか知らないから普通だとか普通じゃないとか言われてもピンと来ないんだけどあたしは?」
実は姫様ご一行、城下町の一太刀からけっこう振り返られたりしているのだがこの三人と一体、まったく気にしている様子はない。
「ねえオーディー?」
「なんですの姫様?」
「ここしかなかったの? 最短ルートって?」
城下町を出て暫く後。アチラヘンより前にアレカナと言う町があるのだが、ひとまずそこへ向かうことにした一行。
「すごい獣道……」
「いくら最短ルートだからって、ちとハードじゃねえかこれは?」
一日でアチラヘンまで行くためには、アレカナまで夕方までに辿りつかなければならず、そのためにオーディーは最短ルートを集合までの時間で考え提示した。
そして今一行の前に広がるのは、生い茂る木々であった。どうにか人がすれ違える程度の隙間はあるものの、ここを多数の人間が使っている様子は見られない。
ホワイトは獣道と言ったが、山ではないので獣道と言うのは正しくない。
「しゃーないやろ。今日中にアチラヘンまで行くには、ここを通るしかないねんから〜」
不満そうな三人に、オーディーはそう抗議する。
「そう。ならしかたないわね、行くわよ」
「オッケー」
「了解」
しぶしぶ三人は、オーディーに続いてその人がすれ違える程度の幅のなにもない道に足を踏み入れる。足元は砂地になっている。
木々の間から吹いてくる風は心地よく、開けた場所でもあれば森林浴したい気分にさせる。その涼しさが救いかもしれない。
「しっかしありがたいぜ」
「そうだね、風邪がきもちいおかげで、サクサク歩けるもんね〜」
爽快な声で答えたホワイトに、しかし佼は同意しつつ言う。
「それもあるけど、ここ一本道だろ? だから変に緊張する必要がないんだよ」
「たしかにビールの言う通りの一本道。誰かが舗装したみたいにまっすぐね?」
「せやけど、こないにせまっくるしい道、誰が舗装するっちゅうんです?」
「そう、そう考えるとなんかあるんじゃないかって逆にかんぐっちゃうのよ」
そう姫様が言ったのを聞いていたかのように、少し先の地面が動いた。
まだあんのかよ
波動をさけるため本を手放す