「じゃ、いきましょうか空」
「うん」
 そうして瀬名は遥翔を連れ立って部屋を出る。水島も澪葉ちゃんのとこにでも行こうかなぁ なんて、あいかわらずおっとりと言い部屋を出た。
 残ったのは俺 呼神鳴人と氷道千影 。そして遥翔の祖父であり俺たちの師でもある和睦の死神こと遥翔昭和だけだ。
「氷道、少し いいか?」
 告げた俺に、氷道の方はあっさりと了解を出す。昭和さんが「なんじゃデートか?」などと囃し立てて来るが違うと一蹴しておく。
「どうしたの鳴人、改まって?」
 部屋を出て早々、氷道が聞いてくる。
「ん、いや。部屋にこもってるの面白くないな、と思っただけだ」
「そうね」
「どこ……行くか」
「……どこ、行きましょうか」
「ううん。庭にでも出るか」
「そうしましょうか」
 ぽつりぽつりと、そんな口数の少ない俺たちは庭に出ることになった。そういえば氷道と二人になったのって、初めてじゃないだろうか?
 あまり女子と二人になったことはないが、不思議と緊張はない。異性だとか言うことはもう気にならないんだろうか、俺は? 修行を始めたころは、けしておおげさではないものの意識はしていた。
「けっこう人がいるのね」
「そうだな」
 たしかに広場にもなっている庭、そこにはけっこうな人がいた。見覚えのある顔はとりあえず見つからないところを見ると、大会見学客だろうか?
 手近な座れそうな段差に腰を下ろすと、氷道も隣に腰を下ろした。なんだか妙にこの空気に安心する、不思議な物だな。
「ん? ぬいぐるみ持ってる女の子」
 そんな感傷的な思いを抱いていたのは俺だけだったようで、不意に氷道が言う。その視線を追えば。
「たしか、あんなかっこうのぬいぐるみ。試合で見なかったか?」
 なんだか見覚えのある恐竜のぬいぐるみを持った女の子。
「そういえば……」
 俺たちの視線に気づいたのか、その女の子はこちらに歩いて来る。
「お疲れ様です」
 第一声に苦笑する俺たち。
「君、たしかどっかのチームにいなかったか?」
 俺のぶしつけな問いに、女の子は頷いて言う。
「ドラゴンエイジス、龍寺院南です。お兄ちゃんたちがお見苦しいところを」
 申し訳なさそうに頭を下げる南。しっかりした女の子だって言うのが第一印象。
「まさか……謝って回ってるの?」
 氷道の少し驚きを含んだ質問に、南は流石に苦笑。
「まさか、流石にそこまではしてません」
「そっか。それで、兄弟は? いっしょじゃないの?」
 氷道のさらなる問いに、南は頷く。
「はい。あっちで頼お兄ちゃんに監視されてます」
 指差された方向では、手から龍型のなにか(おそらくは気だろうな)を出して 近所三人の少年の両腕に食いつかせている、三人より背が高く しっかりした雰囲気の少年が。
「あれは……監視、と言うのか?」
「むしろ拘束されてるわね」
「ああでもしないとなにするかわからないので」
 また苦笑する南。
「元気があっていいと思うけど」
 氷道の感想に対して、南はとんでもないと顔の前で手を振る。
「見てる分にはそれでいいと思いますけど、扱う分には大変なんですよ」
 やれやれといった風情だ。
「扱うって、ずいぶんな言い草ね」
 氷道も苦笑している。
「いや、まあ。あははは……」
「よっぽどあの下の兄弟はどうしようもないんだな」
 大変だな、と言う思いがこもってしまい 深い溜息交じりに言葉を吐いた俺であった。
 
 鳴人君と千影ちゃんが、そんな風に過ごしている時。先に部屋から出てたわたし 水島晴菜はこんな風にすごしていました。
「ゴールドフェニックスはどこにいるのかなぁ?」
 わたしはこの大会で知り合ったジャンパーチーム、ゴールドフェニックスが泊まってるお部屋を探してます。
「今はやめとき」
「ひゃっ」
 後ろから声をかけられたので、その方に向くと。そこには忍者な段田さんが立ってました。
「んなに驚くことかね?」
 あ……あきれられちゃってるかなぁ?
「後さ」
「はい?」
「忍者とか言うな」
「えっ?」
 声に出してたかなぁ? 思わず考えて、だけど 今の段田さんの言葉が不思議で、聞いてみました。
「あの、それで段田さん。今はやめとけって、どういうこと?」
「ん? ああ。今やっさんと澪葉 二人っきりだからな」
「二人っきりなんだ」
「そ、邪魔しちゃー 悪いだろ」
「あれ? そんな関係なの?」
 段田さんの言うことに思い浮かべたのは、鉄康くんと澪葉ちゃんがつきあってるんじゃないのかな ってこと。
「幼馴染だからな。いろいろ、二人じゃないとできねえ話もあるだろ」
 だけど段田さんからは、あっさりした答え。
「ふむぅ、そういうものなの?」
「そういうものだろうぜ、セオリーどおりならな」
 あごに手をやってのわたしの疑問符に、段田さんは変なこと言ったの。だから「なんのセオリー?」って聞いてみたんだけど。
「あらま、おっとりなあんたにつっこみをもらうとはな」
 なんて苦笑してる、失礼な。
「わたしだって、たまにはつっこみくらいします」
「たまには、な」
 むっとしたわたし、なににひっかかったのか段田さんは たまにはを妙に強調。
「ん? うん」
「さて、どうする。ちょうど俺ら暇人同士、外でだべりますか。総ちゃんもブラブラしてるだろうしな」
「それなら女の子いてくれないとやーだー」
 なんて子供みたいに言ってみたんだけど、そうしたら「あら、ご用命ですか?」って波奈ちゃんが正面から歩いて来たの。
「あら、波奈ちゃん。あなたもお暇様?」
「ええ。空くんとエリーさんがいっしょにいるのをみかけてしまいまして、お邪魔かな と。わたくしも混ざりたかったんですけれど」
「けれど?」
「あまりにもエリーさんのオーラが幸せそうだったので。それにわたくしが入るとエリーさん、まさに烈火のごとく怒り出しそうですし」
 そう言いながら、クスクス楽しそうに笑う波奈ちゃん。それに合点がいったわたし、「そうだね」ってパンと手を打ち合わせる、勿論にこにこで。
「いやはや、かしましいねぇ」
 楽しそうな段田さん。
「よきかなよきかな。でよユーフォー、俺とお前とでこの二人のお嬢ちゃんを楽しませるのは 大分骨だぜ。つっこまれこそすれ楽しませるのは難しいんじゃあねえのかい?」
「てめえで言うか そういうこと。つうかいつからいたよ?」
「あ、の……いきなり出て来ることにはリアクションないんですわね 段田さん」
「うん、なれてるからな」
「なれてるんだ?」
「んでよ総ちゃん、外にいたんじゃなかったのかお前?」
 わたしの言葉を無視するように、段田さんは総一郎さんに聞いてる。
「特に面白えことなかったからな。あったにしてもドラゴンエイジスの男子連中が兄貴のドラゴンフォースに捕縛されてるぐらいだ」
「ど、どういう状況なの それ?」
 思わず聞いたわたしに、総一郎さんは「そのまんまだぜ、見に行ってみるか?」って言う、なので。
「うん」
「ですわね。ここであんまり長く立ち話と言うのも他のお客さまに迷惑ですし」
「だな」
 と言うわけで外に行くことになりました。
 
 リベリオンのみんながそんな風にまったりしている間のことよりちょっと前、ちょうどリベリオンの人たちが部屋から出たころ。わたしたちゴールドフェニックスは、こんな感じでした。
「いいのか? 部屋こもってると滅入って来るぜ?」
「余計なお世話がほんとに好きだな雄砲は。俺は慣れてんだから気にすんな」
「はいはい、わかりゃーしたよ。んじゃ、いってくるわ」
 言うとうちのムードメーカー、段田雄砲は部屋から出て行った。も一人天巳幸太郎って人もいるけどすでに部屋にはいないの、まあたぶんチョコでも買いだめしてるんじゃないかな?
「澪葉ちゃん、あまり鉄康君を刺激しちゃ駄目ですわよ」
 ニコニコして軽く手を振ってから部屋を出たのは、うちのアイドル優麗波奈。波奈の言ってる意味はよくわかんないんだけどね。
 雄砲によると、柔らかな物腰とその物腰と同じような乳がたまらんそうです。
 流石はおっぱい星人、わたしにゃとんとわかりやせん。ただ リベリオンの晴菜さんに抱きしめられた時は気持ちよかったなぁ、おっぱいもだけど ああやって抱きしめられると眠たくなっちゃうんだよね。
 まあそんなわけで、わたし山田澪葉とこうちゃんこと幼馴染の八神鉄康を残して、他のみんなは部屋から出てっちゃいました。
 そしたらこうちゃんはさっさとマンガを読み出してしまい、わたしはなんとも手持ちぶたさん。どーしよっかなぁ?
「澪葉。お前も外いきゃいいだろ、暇そうじゃん」
 なにも言わないでぼんやりしてたわたしを気遣ってくれて、こうちゃんはそうやって言ってくれたけどあっさり断る。
「いいよ、外行っても特にやることないし」
 ぴょいとベッドに飛び乗って、ベッド脇で足をブラブラさせてるわたし。外にあんまり興味がないのはほんとのこと。
「そっか、ゲーム機でも持ってくりゃよかったな」
 マンガを読みながらわたしに話しかけてくれるこうちゃん。チームのみんなとか他の人の前でも、こう言う態度でいてくれればいいのになー。
 やっぱりいじめられたことがげいいんなんだろうな。それでもわたしと二人でいる時は、こうやって優しいところ みせてくれるからまだいいのかも。
「わたし携帯ゲーム機持ってないもん」
 相変わらず足をブラブラしながら答えるわたし。
続きじゃッ!
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