貨車の台車

 貨車の台車?まあ、華やかな旅客車輛と比べるとあまり見る機会の少ないものですが、貨車にも様々な台車があり、歴史と共に発展しています。簡単ではありますが大まかな形でご紹介しましょう。貨車のお部屋で台車について云々と話していますがご参考にして下さい。

台車ではないものですが・・・
貨車には2軸車、3軸車、ボギー車と大きく分けることができます。このうち2軸車と3軸車は車体に直接設置されており、台車とは呼ばれません。走り装置と呼ばれます。3軸車は鉄道の初期の頃に見られたもので、2軸車を大きくした結果、登場しました。しかし、ボギー車の登場により製造されなくなりました。
この走り装置で要となるバネ吊り装置によって、下記のように分類されます。

 シュー式
 鉄道が日本に誕生してからの初期の方式。写真では隠れていますが、板バネの両端に「シュー」と呼ばれる部品があり、車体との唯一の接点となっています。
 低速運転の頃は特段問題はありませんでしたが、列車速度が高まるようになると1段リンク式へと移行しました。

 1段リンク式
 列車の運転速度が高まり、これに対応するために開発されたもの。板バネの両端を丸め、目玉形状とし、車体とはリンクで吊るすようにしたもの。車軸の動きが
 良くなりました。

 2段リンク式
 昭和38年に東海道本線鶴見〜新子安駅間の貨物線において、下り貨物列車が走行中、2軸貨車が突然脱線し、隣接線を支障。そこへ横須賀線の上下列車が
 ほぼ同時に進入し、まず脱線した貨車に上り列車が衝突し、下り線を支障。いとまなく下り列車が上り列車に衝突。これにより衝突した部分の横須賀線の電車は
 原型を留めぬほど大破し、死者161名、重軽傷者120名を出す大惨事となりました。この列車多重衝突事故は「鶴見事故」と呼ばれ、2軸貨車の脱線を徹底的
 に調査、実験を行った結果、速度や積載状況など様々な要因が絡み合った「競合脱線」であることが判明しました。この競合脱線を起こさぬよう数多くの改良が
 行われることとなり、その一つにこの2段リンク式が開発されました。1段リンクと似ていますが、さらにリンクを追加したもので、車軸の動きが更に良くなり、運転
 最高速度も75k/hまで引き上げられたほか、脱線に対する抵抗力も向上しました。
 現在使用されている2軸貨車は全てこの2段リンク式を採用したものとなっています。

ボギー車の台車
現在活躍する貨車の殆どが、2軸台車を使ったボギー車です。以前はタンク車などにもみられたものに「TR78」形式(写真下)という3軸台車がありました。現在は大物車で使用されています。

TR41形式
戦後の貨車の台車と言えばこれ!というくらいの標準的な台車。トキ15000形式の登場に合せて誕生しました。TR41として登場後、細部の改良を経てTR41A、TR41C(写真左下)と出てきます。TR41Bはワキ1000形式という急行貨物列車用の有蓋車の登場に合せて枕バネを柔らかくしたもの。外観は同じで、よく見ないと識別は難しい。
その後、昭和41年に高圧ガスタンク車の脱線防止用にTR41D、TR41DSが登場します。これは、枕バネをコイルバネとオイルダンパーの組合わせに変更したもので外見での区別は容易にできます。この台車はその後、ボギーセンター間の短いタンク車に広く用いられる(台車を改造する。)ようになります。
TR41Dの制輪子を合成制輪子に改良したTR41E、同じくTR41Cの制輪子を合成制輪子にしたTR41G、TR41Fが登場しました。

      

TR209形式
TR41形式の軸受を密封コロ軸受に変更した形式。国鉄が製作したトキ25000形式の登場に合せて開発されたもの。当初は枕バネでしたが、TR41形式と同じようにコイルバネとオイルダンパーの組合わせに変更したTR209D形式が登場しています。

TR213形式
TR209形式の走行性能を改善した形式。ボギーセンター間の短いホキ2500形式の登場に合せて開発されました。私有貨車では同様の構造を持つホキ9500形式でも使用されています。積荷が石灰石であるため、カバーがつけられているのが特徴です。
その後、私有貨車の走行性能改善にも使用されTR213C形式(写真左下)となり、タンク車やホッパ車で使用されています。

      

大物車では唯一の使用例となりますが、シキ800形式10番代がそれでTR213F形式が用いられています。外観が異なるのが特徴です。

TR225形式
昭和50年に私有貨車用の標準台車として開発されたもの。一見、TR213C形式に似ていますが台枠の端部が下がっている点が見分けるポイントです。タンク車に多く見られ、一部ホキ800形式などでも使用されています。

TR210形式、TR214形式
昭和42年に登場したタキ43000形式、タキ44000形式向けに開発されたのがTR210形式です。一見TR41D形式に見えますが、初めて車軸に14t軸を使い、軸重を15tにしています。しかし、平軸受けであったため抵抗が大きく、密封コロ軸受けにしたTR214B形式が誕生しました。現在はTR210形式を使用している貨車はTR214形式に交換され見ることは出来ません。

    

TR63形式、TR215形式
我が国初のコンテナ特急「たから号」に使用するチキ5500形式、現在のコキ5500形式に使用する台車として開発されたのがTR63形式で、運転最高速度が85K/hに向上しました。当初は両抱えブレーキ方式でしたが、後に片押さえ式に改良されTR63F形式になりました。現在はコキ5500形式は見ることはできませんが、改造されたチキ5500形式やチキ6000形式などで見ることが出来ます。このTR63F形式を密封コロ軸受に改良したのがTR215形式で、コキ1000形式に使用され、私有貨車で唯一タキ43000形式のタキ143645にTR215F形式が使用されています。

    

TR207形式、TR211形式、TR216形式
高圧ガスタンク車の走行性能を改善するために設計されたTR95形式試作台車をもとに登場したのがTR207形式で、その後密封コロ軸受に改良したのがTR211形式(写真左下)です。様々な高圧ガスタンク車や一部無蓋車にも使用されており、現在はタキ5450形式で見ることが出来ます。
TR216形式(写真右下)はTR211形式のオイルダンパーの取付け位置を変更したものです。

      

TR223形式
TR216形式を元に高速対応を可能とするために開発された台車。コキ50000形式に採用された台車で、運転最高速度は95k/hとなりました。荷重増に対応するため14t軸を装備しています。JRへ移行後、疲労による亀裂が見つかり、脱線事故も起こったことから、改修工事が行われ、施工後はTR223F形式となり灰色の塗装となりました。

FT1形式
JR貨物で初めて登場したコキ100系は運転最高速度110k/hで、その走行性能を得るためにTR223形式を改良して登場した台車です。FT1形式に始まり、細部の改良や用途に応じて種類がいくつかあります。写真左下はFT1A形式、写真右下はFT1−B形式です。

    

FT2形式
FT1形式の改良形式で、海上コンテナなどの重貨物に対応できるように設計されたもので、軸箱守り受けを軸ゴムとシェブロンゴムの組合わせに変更しました。コキ106形式、コキ110形式に採用されています。

FT3形式
FT2形式を改良した形式で、コキ200形式より採用されたもの。コキ106形式と同じく重量のある海上コンテナを輸送しますが、背高のコンテナを輸送するため床面を低くする必要があることから軸距離を延長し、車輪径を810oにしました。

FT21形式
FT1形式を基にして製作された台車で、タキ1000形式に採用されました。タンク体との干渉を防ぐため車輪径は810oとし、運転最高速度は95k/hとなっています。コンテナ車以外の貨車の台車としては最高級の台車です。

多軸台車
大物車など超重量貨物を輸送する貨車に用いられる台車で、台枠に2軸車の足回りをたくさんつけたもの。

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